パートナーシップとエチオピアの歴史的変革を祝う日
アブディラシッド・ドゥラネ 駐日全権大使
第18回ナショナルデーに際し、エチオピア連邦民主共和国政府及び国民を代表し、明仁天皇及び美智子皇后両陛下、皇室の皆様、日本政府及び国民の皆様へ衷心よりご多幸をお祈りし、謹んでご挨拶申し上げます。
5月28日はエチオピアの社会、政治、経済の変革における歴史的な節目の日であります。エチオピアの歴史で初めて平和、民主制度、発展の新たな時代の先駆けとなりました。何十年間もエチオピアを荒廃していた長期にわたる争いが解決され恒久的平和と安定が確実にもたらされました。
過去18年間で、憲法に記されている通り、国民の基本的権利が十分に認められるようになり、民主的なガバナンスの制度が整備され、国民は民主的権利を行使し、政治的プロセスに積極的に参加することが許されました。多数政党が導入され、幅広い政党の参加で3回にわたる国政選挙は成功裏で終えました。エチオピアは来年4回目の国政選挙を開催し、その準備は整っています。これは、エチオピアでの民主的プロセスが初期の段階であるにもかかわらず確固たる道を通り、次第に飛躍を遂げていることの明示であります。
5月28日はまた、社会経済発展における新たな幕開けでもありました。国民を貧困や低開発の不安から解放するため、政府は社会全体に利益をもたらす高度経済成長の正しい開発の道へと導きました。ミレニアム開発ゴールは我々の開発政策・戦略に盛り込まれています。本格的に目標を達成するための取り組みを拡大することで、過去5年連続二桁の経済成長が記録され、MDGs達成の重要な前進をもたらしたことは大変喜ばしいことです。この成長ペースをここ何年間のうち維持することにより、今後20年間で中所得国にランクいりすることは間違いないかと思います。
よって、我々が5月28日を祝う際、政府を率いるエチオピア人民革命民主戦線(EPRDF)が勢力になって以来、過去18年にわたり民主ガバナンスのフロンティアが拡大され、持続可能な発展が確実にもたらされていることによる重要な達成からの誇りと満足を得ます。
この18周年をお祝いするにあたり、エチオピアと日本は強い関係を持ち、この関係は二つの姉妹国家のリーダーシップ間での高官交流訪問でさらに絆を強くしています。日本はエチオピアの有数な開発パートナーの一国であり、この場をお借りして、エチオピア連邦民主共和国の国民と政府から日本の皆様へ我国の開発努力に寛大なご支援を下さったことへの感謝の意を表します。アディスアベバ-ゴハシオン-デジェンロードプロジェクトの一部で日本政府による無償援助としてナイル川に架かるヒダセまたはルネッサンス橋が建設され、メレス・ゼナウィ首相が2008年9月10日に着手致しました。開会式でメレス首相はヒダセ橋を“エチオピアと日本友好関係の生きづくモニュメントと象徴”と位置づけました。
多面協力において、エチオピアと日本はまたアフリカ開発会議(TICAD)のフレームワーク内で親密に取り組んでいます。アフリカ開発支援のための日本政府による確固たる誓約を称賛致します。これは昨年5月に横浜で開催された第四回アフリカ開発会議(TICADIV)において採択された横浜宣言・行動計画とフォローアップメカニズムによって十分に示されました。行動計画実施にあたり、2009年3月下旬にボツワナのハボロネで開催された初めての閣僚級フォローアップ会合での共同声明や福田康夫前首相、中曽根弘文外務大臣、御法川信英外務大臣政務官の高官の出席により今までなされてきた前進はすばらしい達成を与えました。
現下の金融危機やアフリカへのその影響に関して、ハボロネ会議で採択された共同声明をもとに、麻生太郎首相はG20会合での見解を伝え、アフリカへの日本の確固たる誓約をあらためて表明し、国際社会へこれに続くよう駆り立てました。メレス首相はG20会合で、アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)の議長としてアフリカを代表する特別な役割を果たし、ロンドン協議会での初め、世界金融危機の影響を乗り越えるため、大陸への追加支援を求め働きかけました。エチオピアはTICADの目的を実現する意味でも日本と親密に取り組み続けます。
ナショナルデーの祝賀に際し、エチオピアと日本の素晴らしい両国間関係を大切にし、今後二つの姉妹国間で存在する多角的なつながりがさらに強化し連結されますことを願っております。
人々との繋がりにおいて、エチオピア国立民族舞踊団ツアージャパン2008が行われ、日本アフリカ交流年を記念して、エチオピアのミレニアム祭の集大成をお祝いしました。11名からなる舞踊団は東京(高輪、JICAグローバルプラザ、浅草橋)での3公演と川崎、横浜、京都、新城(愛知県)での公演を行いました。舞台ではエチオピアの国家・民族・人々の豊かで多様な舞踊が披露され観衆を魅了し楽しませました。人目を引く衣装は色鮮やかで舞踊のリズムは比類のないものでした。
日本でのエチオピア国立民族舞踊団ツアージャパン2008は成功裏に終え、文化面での二国間関係と人々との振興のために大きく貢献しました。JICAグローバルプラザでのエチオピアの夕べでの最後の舞台では貴賓として御法川外務大臣政務官の出席で、より際立ったものになりました。
エチオピア連邦民主共和国文化観光省、国際交流基金、エチオピア国立劇場、朝日新聞文化財団、エチオピア航空、エチオピアミレニアム2000実行委員会、日本エチオピア協会、モカエチオピアダンスグループ、青年海外協力隊員OB/OG会、多くのボランティアの皆様のご貢献のおかげで、エチオピア国立民族舞踊団ツアーは成功裏で終えることが出来ました。皆様に御礼を申し上げます。
この祝祭に際し、二つの姉妹国家と国民との関係のさらなる向上のために、日本・AU議員連盟、エチオピア委員会、日本エチオピア協会、モカエチオピアダンスグループ、同胞、その他エチオピアの友人によってなされた素晴らしい御尽力に感謝致します。
最後に、この素晴らしい新聞の読者の皆様へお呼びかけする機会を下さいましたジャパンタイムズとこの特集のスポンサーとなって下さいました豊田通商、イーグルシッピングジャパン、ブルックス、クイーンシェバレストランの皆様へ感謝の意を表します。
先見あるリーダーシップでよりよい未来へ
三原朝彦氏 日本・AU議員連盟、エチオピア委員会・委員長
第18回エチオピアナショナルデーに際し、日本・AU議員連盟、エチオピア委員会を代表し、エチオピア連邦民主共和国政府と国民の皆様へ、謹んでお祝い申し上げます。
三度目のエチオピア訪問を昨夏しました。最初は三十五年前、そして二回目は二十年前、どちらもエチオピアは厳しい経済状況であり、国政も不安定でした。私のエチオピアの印象は前二回の体験から将来への希望に満ちた国とはいい難いものでした。
しかし今回の再訪で見たエチオピアは未来へ向って前進する息吹を大いに見聞することが出来ました。首都アディスアベバは車に溢れ、高層ビルがここそこに建ち、街を歩く人達の服装もさっぱりしていました。
地方ではゴンダールとバハルダールを訪れました。その途中農村地帯も訪ねました。ゴンダールの世界遺産の旧跡も修築途上でしたがこれから先世界中から旅行客を呼込みたいとの意識が輝いていましたし、バハルダールでもタナ湖クルーズをもっと魅力あるものにしたいとチャレンジ精神が現れていました。
残念ながら未だ農村地帯は貧困でした。ヤギや牛を追って子供達が雨の中を黙々とあるいていました。しかしかつてと違うのは電気を利用する家々が増えていることでした。例外とは言え近年、花卉栽培をしてバラやランを外国に輸出し、収入を拡大させている農家も生まれていると聞きました。
光栄にも私はメレス首相に面会出来、じっくりエチオピアの今後について意見を承りました。首相は熱っぽく農業を基礎にした国造りを語り、我国の成功物語からエチオピアも学び、国の発展に自らの身を献げたいと決意を述べられました。国のリーダーの要件は滅私奉公です。メレス首相はまさにこれを実践して来ています。我国もメレス首相の高い志をあらゆる場面で支援しなければと思ったのは私だけではありませんでした。
経済・文化交流による大いなる前進
梅田貞夫 社団法人日本エチオピア協会会長
この記念すべき第18回エチオピアナショナルデーに際し、日本エチオピア協会を代表して、エチオピア連邦民主共和国政府と国民の皆様へ謹んでお祝い申し上げます。
この2年は実に活気に溢れ、記憶に残る年でした。2007年9月12日、エチオピアは新たなミレニアム年を迎えましたが、当協会はこれを祝して開催された「日本のエチオピアミレニアム祭」に参画しました。この祝賀会は、アブディラシッド・ドゥラネ大使を先頭に大使館、協会会員および両国のボランティアが企画し、日本におけるエチオピア文化の促進に向け皆がより親密な協力関係を築いて実現されたものです。これは相互に友情の絆で結ばれている象徴的な一例でした。
エチオピアミレニアム年は2008年へと引継がれました。この年の5月には横浜で第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)が幕を開け、これに因んで「日本・アフリカ交流年」と名付けられた年でもありました。
第4回アフリカ開発会議にはメレス・ゼナウィ首相はじめ多くのアフリカ諸国の高官、それに国際機関および民間セクターの代表が出席し、「元気なアフリカ」に向けての対策について討議されました。また、主催国日本はアフリカへのODAの倍増、地方への民間投資の倍増支援、水資源や農業開発支援などを含む様々な支援プログラムを会議にて約束しました。
メレス首相は7月に休む暇も無く再来日し、G8洞爺湖サミットに出席されました。会議では、アフリカを代表して大きな役割を果たされました。また、最近、第4回アフリカ開発会議フォローアップのためタデッセ・ハイレ貿易産業担当国務大臣が来日されましたが、当協会副会長でもある泉堅二郎前大使は他の協会理事と共に大臣に会見・歓談し、友好関係を再確認するとともに、ビジネスの振興等についても意見交換をしました。
政府レベルで行われているこのような開発努力とともに、我々の活動は文化面と親善促進面で更に歩みを進めました。国際交流基金および朝日新聞文化財団からの助成金を受け、エチオピア大使館、ミレニアム委員会および当協会から成る実行委員会は、11月上旬にエチオピア国立民族舞踊団を日本へ招聘しました。エチオピアミレニアム年の結びにあたるこの大きなイベントは、その年の文化的ハイライトとなりました。これは、実行委員会メンバーやボランティアによる努力もさることながら、東京、川崎、横浜、愛知県新城市、京都等の現地後援団体が骨惜しみせず熱心にご協力下さったお陰で、舞踊団の日本公演は成功裏に終え、多くの日本の観衆をエチオピアの文化遺産へと大いに引き付けることとなりました。
また、当協会理事の三宅理一教授はエチオピア歴史遺産都市会議2008実行委員会委員長として、日本のUNESCO世界遺産都市である大田市の木造古民家をこれもエチオピアのUNESCO世界遺産都市であるゴンダール市へ寄贈しました。同教授は、不断の努力で官民双方から資金やその他支援を集結し、この環境に優しい古民家の移築に成功しました。
当協会理事の内藤幸彦氏と近藤健氏も立派な成果をあげてくれました。1972年以来10回のエチオピア訪問を通じて、内藤氏は自分の生涯プロジェクトとしてエチオピア農村地域の貧しい学校の子供たちへ3人掛け勉強机を寄贈してきましたが、昨年通算1200セット譲渡を成し遂げました。近藤氏は日刊スポーツ新聞社から頂いたTシャツとカバンを、アディスアベバ郊外にある身体障害児センターのチェシアへ500セット寄贈しました。駒野欽一日本大使が御好意でその贈呈式にご出席下さいました。また、協会活動を絶えず支援し、協会を助けて下さる理事、会員、ボランティアの方々が他にもおられるのですが、紙面の関係でご照会できないのが大変残念です。
最後に、エチオピアとエチオピア国民のご成功、ご発展とご繁栄を心よりお祈り申し上げますとともに、当協会は今後とも経済や文化面で両国の友好関係と親善促進に向け惜しまず努力を続けてまいることをお約束し、結びと致します。
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